茨城県の不法就労通報報奨金制度と外国人の適正雇用ついて/プランナー行政書士事務所
2026/10/16
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外国人の採用を進める企業が増加する中、
「知らず知らずのうちに不法就労者を雇ってしまっていた」
というリスクはどの企業にとっても他人事ではありません。
2026年5月、茨城県は全国的にも珍しい「不法就労通報報奨金制度」を開始しました。しかし、開始から約3カ月時点の運用状況を見ると、通報は寄せられているものの報奨金の支払いは0件にとどまっています。さらに、弁護士会をはじめとする各方面からは制度に対する重大な懸念が表明されています。
本記事では、茨城県の制度の運用実態と課題を整理したうえで、事業主が法的責任を回避し、自社を守るために徹底すべき「外国人の適正雇用ルール」を解説します。
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✅茨城県「不法就労通報報奨金制度」の概要と運用実態
制度の概要
茨城県では、農業や工場などを中心に外国人の不法就労が常態化している実態を背景に、2026年5月11日より独自の「不法就労通報報奨金制度」を導入しました。
通報対象: 不法就労を背後で助長している疑いのある「事業者」や「ブローカー」に関する情報(※外国人の外見や属性のみを理由とした通報は対象外)
報奨金: 寄せられた情報が警察の摘発等につながる「特に有益な情報」と認められた場合、通報者へ原則1万円を支給
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開始約3カ月の運用実態
制度開始から約3カ月が経過した時点での情報公開データにより、以下の実態が判明しています。
通報受付件数: 85件
警察への情報提供件数: 32件
報奨金の支払実績: 0件
85件の通報があり、精査を経て3割強が県警に引き渡されたものの、実際に報奨金が支払われた事例は1件もありませんでした。外部からの目撃情報だけでは「警察が事件として動ける客観的な証拠」に結びつきにくく、制度の機能面に高いハードルがある実情が浮き彫りとなっています。
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✅制度に対する課題と懸念点(関東弁護士会連合会の声明より)
2026年3月、関東弁護士会連合会は本制度の導入・運用に対して反対および撤回を求める声明を発表しました。主な論点は以下の3点です。
1. 不法就労の本質的解決にならない
不法就労に至る背景には、最低賃金を下回る賃金設定や過酷な長時間労働、パワーハラスメントや虐待といった劣悪な労働環境から逃れるため、やむを得ず失踪・不法就労に追い込まれている構造的要因が存在します。受け入れ企業側の労働環境の改善や人権保障という根本原因に対処しないまま摘発・通報のみを強化しても、真の解決には至りません。
2. 県内の事業者や地域住民への不利益・分断
行政主導で住民による監視や通報を促す仕組みは、「通報運動に非協力的な企業や住民」に対して不要な疑念や同調圧力を生む危険性があります。地域社会における事業者間の信頼関係や住民コミュニティの調和を損なう恐れが指摘されています。
3. 差別と偏見・排外主義の助長
制度上は「外見のみの通報は対象外」と設定されていても、運用上「外国人に見える」という容姿や話す言語だけで不法滞在者・犯罪者予備軍として疑いの目を向ける行動を誘発しかねません。日本で適法に生活し働く外国にルーツを持つ人々に対する不当な差別や偏見、排外主義を煽る温床となるリスクが強く懸念されています。
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✅事業主に求められる「外国人の適正雇用」3つの鉄則
社会的な制度議論の一方で、事業主自身が直面する最大のリスクは「自社が法違反に問われること」です。不法就労者を就労させた場合、入管法第73条の2に定める不法就労助長罪が適用されます。
法定刑: 3年以下の拘禁刑、300万円以下の罰金、またはその併科
両罰規定: 行為者だけでなく、事業者(法人)に対しても罰金刑が科されます
事業への影響: 建設業許可をはじめとする営業許可の取消処分や、金融機関からの融資停止など、事業継続そのものが困難になる重大なペナルティを伴います。
「不法滞在だとは知らなかった」という言い訳は一切通用しません。在留カードの確認を怠るなど「過失」があった場合でも処罰の対象となります。
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把握しておくべき不法就労の3パターン
不法滞在者が働くケース: オーバーステイ(不法残留)や密入国した外国人を就労させる。
就労不可の資格で働くケース: 「短期滞在(観光)」ビザでの就労や、資格外活動許可を得ていない留学生を雇い入れる。
許可された範囲を超えて働くケース: 「技術・人文知識・国際業務」の資格を持つ外国人に現場の単純労働を命じる、あるいは留学生に法定上限(原則週28時間)を超えてシフトに入らせる。
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実践すべき企業防衛のステップ
原本の提示と専用アプリでの確認: 採用面接時には必ず在留カード原本の提示を求めます。目視確認だけでなく、出入国在留管理庁が公式提供している「在留カード等読取アプリケーション」を用いてICチップの情報を読み取り、偽造カードを確実に排除します。
裏面の資格外活動許可欄の確認: 表面に「就労不可」と記載されていても、裏面に「許可(原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く)」の記載があれば、時間制限の範囲内で合法的に雇用できます。
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ハローワークへの外国人雇用状況の届出: 外国人労働者の雇入れ時および離職時には、翌月10日(雇用保険対象外の場合は翌月末日)までにハローワークへ氏名・在留資格等を届け出る義務があります。届出を怠ったり虚偽の届出を行ったりした場合は、30万円以下の罰金が科されます。
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✅よくある質問(FAQ)
Q1. 「知らなかった」場合でも不法就労助長罪に問われますか?
問われます。 事業主が「不法就労であると明確に認識していなかった」としても、在留カードの原本確認を怠ったなど、過失によって不法就労者であることを見落とした場合は処罰対象になります。採用時の確実な確認フローを社内規定として定めておくことが不可欠です。
Q2. パスポートのビザ(査証)を確認すれば在留カードの確認は不要ですか?
必須で在留カードの確認が必要です。 「ビザ(査証)」は日本へ入国するための推薦状に過ぎず、日本国内で就労できる法的根拠となるのは入国時に付与される「在留資格」です。在留資格の種別や就労制限の有無は、在留カードによってのみ公的に証明されます。
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Q3. 留学生が夏休み等の長期休業期間中、週40時間働ける条件は何ですか?
教育機関の学則等で定められた長期休業期間中であることの証明が必要です。
留学生は資格外活動許可により「週28時間以内」での就労が原則ですが、大学等の公式な長期休暇中は「1日8時間・週40時間以内」まで就労時間が緩和されます。ただし、学生証や学校発行の休業証明書等で期間を確認し、書面で保存しておく必要があります。
Q4. 在留期限が切れて特例期間中(更新申請中)の外国人は雇用を継続できますか?
在留期間満了日から最長2カ月間は適法に就労を継続できます。
在留期間満了前に更新許可申請等を行っている場合、在留カード裏面に「在留資格更新許可申請中」のスタンプが押印されます。新カード受領までの間(満了日から2カ月が経過する日または処分の結果が出る日のいずれか早い日まで)は従前の在留資格のまま就労可能です。
Q5. 派遣社員や下請業者の外国人が不法就労だった場合、発注元・受入先も処罰されますか?
事業主自身が実質的な指揮命令を行っていたり、不法就労であることを認識・容認していたりする場合は処罰されるリスクがあります。
形式上は他社の雇用であっても、偽装請負や違法派遣の状態において現場で違法就労をさせていた場合、不法就労助長罪の共犯などに問われる可能性があります。一次請け・元請けとしても、入場時の在留資格確認体制を厳格化しておく必要があります。
✅関連する一次情報・公式リンク
適正な外国人雇用体制の構築にあたっては、以下の公的機関の一次情報をご確認ください。
出入国在留管理庁:在留カード等読取アプリケーションの導入・利用マニュアル
https://www.moj.go.jp/isa/content/001463860.pdf
厚生労働省:外国人雇用状況届出システム(届出義務と運用手引き)
https://gaikokujin.hellowork.mhlw.go.jp/report/001010.do?action=initDisp&screenId=001010
出入国在留管理庁:在留資格一覧表・就労制限の有無について
https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/
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